どうしたら覚えられるのか?

たくさんあったり、長かったりすると、覚えづらいですね。暗記のコツは、おおげさに言えば、五感を使うことでしょうか。五感と言っても、匂いや味は字にはないので鼻や舌は使いませんが…。それ以外の感覚、目や耳、口、手の全部を使うんだと意識してみてください。何かが違ってきます。

英単語は、読み方と意味を発声しながら何個も書く。難しい漢字は、一回は「腕」で書いてみてください。中学生のころ、「驚く」という漢字が僕は書けませんでした。ゴチャゴチャしていて嫌だった。そこでノートいっぱいに大きく「驚く」と書いてみました。するとそれが目に焼きついて覚えることができました。歴史の年号は、強引なごろ合わせが役に立つかもしれません。最近、ハーフのタレントがやたらと多いですね。池田イライザとか高橋メアリージュンとか。彼女たちの名前をまねて、承久イニニイ(承久の乱1221年)、応仁イヨロナ(応仁の乱1467年)としてはどうでしょう。ごくろーさん聖徳太子(593年)もいいですよ。(596年)と覚えても大差ありません。いつごろのことかわかれば十分。

しかしこれらは単発の場合の暗記術です。「点」で覚えているだけ。たぐれば他も出てくる「線」で覚えられるともっといいですね。覚えたことと覚えたことを関係づけることが、「考える」ということの第一歩です。自分で考えて、つなげて、「線」になってくれば、そう簡単には忘れません。

オーストラリアは日本の真南にある → 経度が同じ → 時差はない。でも緯度がちがう → 季節が逆 → 8月が気温は一番低い → 気温のグラフは谷型。なんで季節が逆になるのか? → 地球の地軸が傾いているから → 8月、北半球は太陽光線をまっすぐに浴びるけど、南半球は斜めに浴びるため熱が弱い。それで寒い。…自分でつなげたものは、ひとつの「発見」であって、長く残ると思います。

日本の中世は、個人がその才覚と腕力を生かせるようになった時代だと言われます。公家(天皇)にとっては面白くなかったでしょう。承久イニニイは、鎌倉幕府に対する天皇側の反乱で、大失敗に終わりましたが、これに懲りずに「いざササッ」と建武の新政(1333年)で一時は権力を奪い返します。しかし、勢いに乗っている武士たちにはかなわず、やがて武士たちはあちこちで一国の主となって権力争い加わります。その始まりが応仁イヨロナで、イヨロナを境に将軍や公家の力が落ちて、戦国時代に入ったそうです。

「線」で覚えるには一続きのお話として考えるといいですね。英単語にしても、教科書がゴミ問題を扱っているところなら、ゴミにまつわる言葉 —— 捨てる、大量の、再利用、再使用、ビニール袋、CO2、環境、とゴミに関係している言葉が多い。そこで連想して、それらをつなげてみる。と、お話は「ゴミを捨てないようにしよう」というお説教だと気がつきます。その「線」に沿って単語を覚えていく。きっと他の単語も浮かんできますよ。

まずは五感で覚える。つぎに連想を使って覚えたものをつなげる。このとき、人が何と言おうと自分のイメージの仕方に自信を持ってください。方法が独自であればあるほど「考える」ことが嫌でなくなると思います。